ブログ Blog

2023年07月03日

不登校教育について Vol.2

学校現場の現実

不登校の理由はさまざまですが、それを公的教育機関で助けられないことの方が多いのは事実です。

学校現場では、異変を事前に把握できていることの方が多いです。

ときには家庭以上に顔を合わせ、一人一人の機微も敏感に感じるようになるからです。

だが結果不登校児を学校に戻すことができるかといえばできません。

それはなぜなのか。

学校教育現場では個人の問題全てに対応するのが不可能に近いからです。

実際公立中学校教員になってみると、信じられないくらいの業務量。

ツイッターの「#教師のバトン」などで有名になったこともあるが、現場の状況は想像しているよりもはるかに

残酷です。

定時に帰ることはおろか、土日も部活の練習や大会などがあり半年で休みが3日。

朝練があるため出勤は朝6時で退勤は夜10時前後。

月の残業時間が150時間を超えるときもありました。

授業に穴をあけるわけにもいかないので有休もほぼ使えず、給食を3分ほどで食べ、生徒指導などが入るとトイレ

に行く時間すらない。

そんな生活を送っていた私ですが、これでも勤務時間が私以上の教員がいる。

これが公立学校の現状である。

しかも給特法により、月額報酬の4%の教員調整額というものが支払われるだけで実質無限に

残業ができてしまいます。

月150時間の残業を10,000〜20,000円の残業代でこなしている。時給にすると100円前後である。

それでは気力を他にさらに割くこともできず、やれることも限られてしまうのが人間。

「教師なんだから子どものために全力を尽くすのが当たり前だろ」

もちろんその通り。その心を持たないものは教育者ではありません。

しかし、授業や学級経営、書類や教材作成以外に時間と労力を割くことが物理的に無理なのです。

そんな状況で公的教育機関に助けを求めても何も返ってこないのは当然です。

できて学期に一度の家庭訪問、子ども家庭支援センターに繋ぐなど場当たり的なことしかできません。

国や自治体などでサポートしますよといっても表面的なことしかせず、経過観察するばかり。

結局は面倒なことになってほしくないから深くかかわらず、俯瞰するのみ。

実際、教員生活の中不登校支援をやる余裕は私もまったくありませんでした。

今の時代簡単になってしまう不登校

今は少し手を伸ばせば娯楽があふれています。

スマホを操作すればどんな情報でも手に入ります。

3才の子が完璧に iPad を使いこなす時代。

その状況であるがゆえに家にいても暇になりません。

学校は勉強が大変。

算数の授業が難しすぎる。

家にいたらゲームができる。

学校が遠い。めんどくさい。

友達と気まずくなった。

勉強しろしろ言われて嫌になった。

朝早いのが嫌になった。

忘れ物したら馬鹿にされた。

体育の時間のキャッチボールの相手にいつもなっていた子がなってくれなかった。

友達に遊びに誘われなかった

一回具合が悪くて休んだらとても楽で行きたくなくなった。

今挙げたのは私が実際出会った不登校理由です。

既視感ある誰しも感じたことがありそうなこと。

しかし、いじめによる不登校よりもこのような理由から不登校になる子が多いのが現状です。

いじめられてると聞いてた!

だから行かせなかった!

ということもありましたが、紐解くと

「ちょっかいをかけられたから怒っただけ」

「大きな声で騒いでいたから注意しただけ」

「別に嫌いになったわけではないけどちょっと遊ぶのが嫌な時期だった」

など些細なことだったというのがほとんどです。

人間が共同生活を送るのです。多少の人間関係のトラブルがあるのは当然です。

実際、クラスの生徒は復帰を待っているということも多いです。

しかし、なんとなく1日行けなくなると1週間。そして1ヶ月、1年。

そして家から出られなくなってしまう。

少し行けなくなるくらい大丈夫かと思うかもしれませんが、

1週間明確な理由なく休むとほぼ半々の確率で不登校になってしまいます。

大人でも休み明け少し職場に行くのが億劫になるのと変わらないのです。それが子どもの場合顕著に出ます。

そして、軽い気持ちから不登校になってしまう。

そうなると精神が少しずつ追い詰められていきます。

行かないことに対しての不安や不満。いろいろなことが頭の中をぐるぐる回り

それが体の不調としても出てきてしまうのです。

いつかいけるようになるはず…

Vol1でも書きましたが、最近は学校に行かなくても立派になれるとか

無理に行かなくても良いという風潮もあります。

実際の不登校の現状は先に記述した通りそんなにやわなものではありません。

家庭ではあてるとこのないストレスを子どもが色々なものにあたり、それをなだめる親。

その結果もっと自由にしてもいいとなってしまい、子どもはさらに外に出られなくなる。

そうすると、不登校というのがダメだということを認識しながら、

これがこの子の現状には一番いいはずと言い聞かす状況ができ上がってしまうのです。

うちの子はギフテッドだから…

少し敏感に感じやすいだけで…

色々才能もあるはずだし、ゲームが好きなら今はゲームを職業にできるし…

しかし自ら立ち直りそれを将来の道を打開できるほど人は強くありません。

集団生活をしっかりこなさず社会に出るのは、誰にでもできることではありません。

とても大変なことです。

それだけ不登校になるというのは将来に大きなダメージを残します。

講師紹介

飛田野凌太 

私立芝高等学校卒業。東京理科大学理学部数学科卒業。

東京都教員採用試験合格後、中学校の数学の教師になる。

その後教員を退職し、現在の塾を元保育園園長の経験を持つ母と共に立ち上げる。

不登校指導に関しては直接指導した生徒は学校復帰に成功。

不登校の現場を多く見て、指導した経験から講演や指導を行っている。

お問い合わせ先

メール mail@kosodate-labo.co.jp

電話  03-5981-9868

Access

とうきょう子育て研究舎

〒113-0021 東京文京区本駒込1-13-14 2階
営業時間:14:00~20:00
EMAIL:mail@kosodate-labo.co.jp
TEL:03-5981-9868
定休日:毎週月曜日/年末年始

アクセス
・営団地下鉄南北線「本駒込」駅 徒歩5分
・都営地下鉄三田線「白山」駅  徒歩7分
・都営地下鉄三田線「千石」駅  徒歩7分

トップに戻る